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でぃふぇぜろにっき

弐寺に偏った日常の、ケイナさんと親友コンビに偏った記録な感じ。

2024'05.17.Fri
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2007'12.29.Sat
大掃除パワーか荷造り現実逃避パワーか、クリスマス小説がなんだか書けちゃったので掲載。
識さん中心オールキャラです。

このサイトは一年中クリスマスで一年中お正月でハロウィンで夏休みでお花見なので日付は気にしてはいけません。

JINGLE BELLS! #003 ウタゲのあと


「……なんだかなぁ」
12月25日、早朝。
私に何かあったら頼む、とセムから託された鍵で世音の扉を開け、識は深くため息をついた。
24日の夕方から夜通しパーティーが開かれていた店内は、散らばる酒瓶と床に転がって眠る人々で、まさに死屍累々と言った様相だ。
あんまり遅くなったらケイナの家に泊ると言っていた中学生組までがソファで微睡んでいるのを見つけ、それはつまりそういうことなんだろうなと識はもう一度嘆息した。家族団らんの最中も絶え間なく送られてきた、ケイナからの実況中継メールが途絶えたのが12時過ぎだから計算は合っている。
そのケイナはと言うと、恋人同士らしくジルチに抱きつきながら、部屋の隅に転がっていた。腕が背後からジルチの首に回されて、抱きつくと言うよりはプロレス技のようになっているのは気にしないでおく。ジルチの顔が若干苦しそうなのも無視だ。
「…………本っ気で、なんだかなぁ……」
呟いて識は空き缶やら酒瓶やらを拾っていった。落ちていたスーパーの空き袋にどんどんと放り込んでいく。
「あ」
屈んでみれば狭いバーカウンターの下でニクスが寝ているのが目に入った。トレードマークの帽子も被ったままで、椅子とカウンターの間に器用に丸まっている。
「狭いところが好きって、猫じゃあるまいし……」
苦笑して、持ってきた毛布を掛けてやろうとすると、ニクスがぴくりと反応した。
「……んだよ……」
「俺だよ、毛布かけてまわってるとこ」
「……悪ぃ……」
それだけいうと、毛布を身体に巻き付けるようにして、ニクスはまた眠ってしまった。この酔いっぷりでよく目を覚ましたものだと識は感心する。さすがは元空軍というところか、ただ単に眠りの浅い体質なのか。
「さて、と……」
一升瓶を抱えたままのデュエル、大の字で眠る英利、寝相の悪い慧靂に順番に毛布を掛けてやりながら、識は一番混雑のひどい部屋の中央へとたどり着いた。
「師匠……また飲み比べしてたんだろうな……」
相手の士朗も、ユーズも共に酔いつぶれた今となっては勝敗は知るべくもないが。
転がる一升瓶に四合瓶、つまみの紙皿が惨状を物語っている。毛布を掛けようにもゴミを巻き込んでしまいそうで、識は半ば自棄になりながらゴミ袋にゴミを突っ込んでいった。
「師匠も士朗もポン酒強いからなぁ……」
泡盛をこよなく愛する識には日本酒は甘すぎるし、鉄火もそれなりにいける口のようだが未成年を潰すわけにも行かない。セムも強いが、ゆっくりと飲みたがる彼は飲み比べに参加しない。そもそも士朗がユーズに挑戦する機会を逃す筈もない。必然的にというべきか、転がる屍の中でこの二人だけが、朝方まで飲み続けるのが飲み会の恒例となっていた。
それは別に構わないのだ。後始末さえ自分たちでちゃんとやってくれれば。
「……無理、だろうな……」
どう頑張っても想像できずに、識は無茶な希望はとっとと捨てた。二人とも風邪を引く人間には見えないが一応毛布を掛けて、パーテーションで区切られた隣室へと移動する。
パーテーションの向こう側では、セリカとエリカがちゃっかりソファーを占領して、上着を掛けて眠っていた。ソファーの裏側にはセムと鉄火が一枚の上着を分け合うようにかけて眠っている。
「うーん……介抱してる間に眠くなったってとこかな?」
そういえばケイナのメールによれば鉄火も大概飛ばしていたらしい。慣れない夜遊びでハイになったのかと分析しながら、識は毛布を二人に掛けてやった。ついでに跡がつかないよう、鉄火の眼鏡とゴーグルも外してやる。
「ええと、彩葉とヒフミさんは帰ったんだっけか……ナイアも明日早いって言ってたしな……あ、茶倉も帰ったのか。リリスちゃんはここが家だし……」
居ない人間を把握するために、ケイナからのメールを読み返す。昨夜は、15分に一回のペースで送られてくるメールが途中からうざったくなり、ケータイをマナーモードにしていたため結構な未読メールが溜まっていた。時間が進むたびに減っていく絵文字と顔文字が、逆にケイナのはしゃぎっぷりを表していると思いながらホイールを回す。
「あとは孔雀とサイレンか……探したくないなぁ……」
全てのメールを読み終え、ケータイを閉じて識は小声でぼやいた。酒が入ったときのあの二人はいろんな意味で恐ろしい。店の外で寝ているくらいならまだいい方だ。歌舞伎町疾走事件や路上パントマイム事件、殺陣を喧嘩と間違えられて通報事件など、数々の伝説は思い出すだけで頭が痛くなる。
「…………電話に出なかったら見捨てようかな」
半分以上本心で呟いて、識は孔雀のケータイを鳴らした。途端、大音量のmemoriesが店内に鳴り響く。
「え?」
慌てて辺りを見回し、音の発信元を突き止める。音は先ほど、ニクスが居た辺りから響いていた。
「居た……」
バーカウンターに走り寄り、その内側を覗いて、識はガックリと脱力した。うなだれながらも近所迷惑な着信音を止めることは忘れない。
「なんでこんなところに……」
本来セムや慧靂など従業員しか入らないはずのカウンターの内側、すれちがうのがやっとの細いスペースにサイレンと孔雀は積み重なるように酔いつぶれていた。コンクリート製の床は固いし冷たいだろうに、なんでこんなことになっているのか識には見当もつかない。
「なんだかなぁ……」
焼け石に水のような気がするが一応毛布を掛けておく。確実に風邪を引くんじゃないかという気はしたが、孔雀を動かす力は識には無いし、こうなった彼らが揺さぶっても何をしても起きないのは散々実証済みだ。
「えーと、とりあえずはこれで全員かな……」
指折り数え、識は大きく伸びをした。いつもラストのまとめ役になるナイアが残れず、セムも潰されそうだと言うことで心配だったのだが、とりあえず全員無事で何よりだ。
「英利がもうちょっと強かったら頼りに出来るんだけどな……大体やるだけやっといて寝ちゃう師匠もひどいって……」
これが自分の役回りだと納得しているから腹は立たないけれど、一応文句を言ってみながら出口に向かう。その途中、ソファで眠るシアの枕元に何かを見つけ、識は立ち止まった。
「……サンタから?」
お手製らしい綺麗なラッピングを施された可愛らしい包みが、シアの枕元に置いてある。一瞬ナイアからかと思ったが、前にケイナが言っていたことを思い出し、違うのだろうと識は判断した。シアの隣で眠るツガルのサンタの衣装と、ダルマの足下に落ちたトナカイカチューシャも考えを支持してくれる。
「……ほんと、いい子達だよなぁ……、そうだ」
微笑んで、ふといいことを思いつき、識は誰も起こさないように、そっと世音を抜け出した。

数時間後。シアの歓声で目覚めたメンバー達は次々に、枕元に置かれた小さな包みを発見した。お菓子や玩具の入ったそれを開けて、ある者は驚き戸惑い、ある者は大笑いする。
「メリークリスマス!」
子供達の歓声に合わせてひとしきり騒いで。響いた声が識に届けばいいと、密かに願いながら声を合わせた。

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25日早朝の風景。
パーティーは六時から始まり、識さんは家族と過ごすために七時で帰宅。十時頃に緋浮美が彩葉を引きずって帰る。ケイナのテンションを見て、中学生組帰宅を諦める。十一時頃、士朗とユーズがにらみ合いを始め、二人で過ごせたらとかちょっとだけ期待していたエリカが諦めて気持ちを切り替える。十一時半、リリスが離脱。ナイアもシアに心を残しつつ帰宅。十二時頃デュエルと英利が潰れ、茶倉が呆れて帰宅。十二時半ごろケイナとジルチが潰れ、それを機に子供組も就寝。一時頃シアが寝たのを確認してツガルがプレゼントを置き、就寝。鉄火も眠気の限界を迎える。リリスが帰って安心しているセムも(残っているメンバーが手に負えないこともあり)つられて眠る。サイレンと孔雀、この辺りから目撃情報が途絶える。二時過ぎ、まだのめる~、と言うセリカを引きずってエリカソファーへ。慧靂が潰れ、話す相手が居なくなったニクスもふてくされて眠る。その後は士朗とユーズの独壇場。

最初に書きたかったのはジルケイとセム鉄におわせつついい人な識さんと、最後のちょっといい話だけだったのに気がついたらこんな綿密な設定が。

鉄火は高校入った辺りから、じいちゃんの晩酌にたまにつきあってる気がします。セリエリはまあ、日本の慣習では高校卒業したら合法的に飲めることになってますので。
ユーズは未成年には勧めないけど、飲むなら止めない人だと思う。
ぐだぐだな飲み会は楽しいです。
そして識さんが果てしなくいい人過ぎる。ユーズとの師弟関係の中で鍛えられてきたのだと思います。

そんなこんなな4日遅れクリスマス! 書いてる人と登場人物達は大変楽しかったのでいいと思います。メリクリあけおめ!
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