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でぃふぇぜろにっき

弐寺に偏った日常の、ケイナさんと親友コンビに偏った記録な感じ。

2024'05.11.Sat
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2008'03.24.Mon
またもや世界樹のニデラー達。この間の続きですが、今度はセリフじゃなくて小説で。
なんだかやたら長くなってしまいました。イメージとしては四コマ連載の途中で入る、少し頭身高くなってのストーリー漫画……なのですが、二号分使いでもしなきゃ四コマ連載のページ数じゃ収まらないような。気にしない気にしない。

・一階最大のネタバレを含みます。
・蝶とか苦手な方は覚悟を決めて!

<最初の強敵>


「えーと、地図のサイズ的にここが端っこなんかな……」
「ケイナさん、こっちにも道がある!」
「おっけー、ちょっと待ってな」
マッピングするケイナさんを置いていかないように。先行し、道を探すダルマから離れすぎないように。
ツガルとエレキを守れる位置に立ちながら、テッカは注意深く迷宮を進んでいった。
がさり、と茂みが揺れるたび、何かの鳴き声が聞こえるたび、迷宮を彷徨う魔物が飛び出してくるのではないかと不安になる。
(……落ち着かなきゃ)
得体の知れない不安が、さきほどからずっと胸の中心にわだかまっている。それが嫌でテッカは息を吐いた。
(ここの階の魔物なら、もう倒せるんだから。落ち着かなきゃ)
自分は、怯えすぎているのだと思う。
冒険に出ることになったのは確かに急だったし、実戦の経験がそれほど無い自分たちにとっては、迷宮の浅い階層と言えども危険な場所だ。はしゃぎすぎている二人を除けばテッカが一番年長だし、パーティの盾であるパラディンとして、皆を守らなければならないという気負いもある。
そんなものが混然となって、得体の知れない恐怖として心を苛んでいるのだとテッカは判断していた。
情けないと言ってしまえばそれまでだが、慢心こそが冒険者の真の敵だと、偉大な冒険者であった祖父にテッカは教え込まれている。
大事なのは怯えぬことではなく、いざというときに即座に判断し、動けること。祖父の教えを反芻し、テッカは不安に縮む心をどうにか落ち着かせようとした。
(そうだ、ちゃんと周り、注意してなきゃ……)
考えに没頭しすぎないよう、辺りを見回す。木に覆われくねった道の先には、開けた空間があるようだった。ダルマが大きく手を振って、こちらを呼んでいる。
「今行くー!! ケイナさーん、エレキー! こっち!」
パーティを一纏めにして、テッカは目の前の角を曲がった。
途端、目の前に一面の花畑が広がる。背の低い、白く小さな花で、絨毯をひいたように埋め尽くされた草原。
「わぁーっ!」
揺れる木漏れ日に誘われるように、ツガルが歓声を上げ、駆けだした。
「あっ、ツガルちゃん!」
テッカは慌ててツガルを追いかける。
「うわ……すっげぇ!」
「きれいやなー」
エレキとケイナも小走りにやってきて、五人は花畑の中央で合流した。
「この部屋はここで行き止まりだと思う。隠し通路はこれから探すけど」
「そっか、了解」
ダルマとケイナが持つ地図を、三人は覗き込む。その髪を優しい風が揺らしていった。
風の中に混ざるのは、ふわりとした花の香り。敵意を持たない鳥たちののどかな鳴き声。
魔物の巣くう迷宮の中にあって、その部屋はあまりにも綺麗すぎた。
「なぁ、しばらくここで休んでいかへん?」
だから、ケイナのその言葉に、四人は素直に同意した。



「えーとこれはヨモギで、こっちもヨモギで……あ、よっしゃこれニガヨモギだ!」
「へ? 同じじゃねーの?」
「微妙に違うんだって。ほらココとかココとか」
「わかんねーって」
初級レンジャー向けのガイドブック片手にエレキが草をかき分ける。それを肩越しにテッカは覗き込んでいた。
すぐ側には早起きが祟ったかすやすやと眠るケイナ。ダルマがその髪や服に花を差し込んで悪戯し、ツガルもそれを見てくすくす笑っている。美しい羽根を持つ蝶が、ひらりひらりと視界をかすめた。
「……?」
穏やかな景色。その中に、なにか得体の知れない違和感を感じて、鉄火は辺りを見回した。
「……っ!」
途端、背筋が粟立つ。
ひらひらと舞う蝶の群れは、いつの間にかテッカ達を取り囲んでいた。怪しい美しさを持つ紫の羽根が、嘲笑うように鱗粉をこぼす。
「エレキ! ケイナさん!」
油断してしまったことを後悔する暇はなかった。それでも血の気が引くような、足下が崩れるような後悔に襲われた。
「ダルマ! ツガルちゃん!」
叫ぶ。蝶達が嘲笑うように鱗粉をこぼしながらゆぅらりと近づいてくる、その異様さに鳥肌が立った。
「囲まれた!!」
エレキが、ケイナが、ダルマが、ツガルが、顔色を変えて武器を取り、立ち上がる。蝶達が包囲網を一気に狭め、その瞬間花畑は戦場へと変わった。


「いけっ!」
誰よりも早く、エレキが蝶に向け矢を放つ。かわしきれない蝶がバランスを崩し、地上に落ちかけたところをすかさずダルマの斧が閃いた。
「えいっ!」
とどめとばかりにツガルが杖で蝶の頭を潰す。痙攣するかのように羽根をばたつかせた蝶は、すぐに動かなくなった。
「よっしゃ、まず一匹!」
エレキの声が力強く響く。
「っ!」
死角から一匹の蝶がダルマを狙い飛んでくる。それを盾でテッカは払い落とした。体当たりの衝撃が伝わってくるが、耐えきれないほどではない。
「こっちも行くで! 炎の術式っ!」
その間に術式展開を済ませたケイナが炎の術式を起動した。燃え上がる炎は蝶の羽根を焦がし、発生した気流が蝶の体勢を崩す。
「どんなもんや!」
得意げなケイナの声。エレキが次の弓をつがえ、ダルマが次の獲物に狙いを定める。
全員に隙が出来てしまうこの瞬間。どんな攻撃が来ても守れるように、テッカは強く盾を握りしめた。炎から逃れ、残る蝶は二匹。例え同時に飛んでこられたとしても、十分対処できる数だ。
勝てる。そう確信する。
だが、攻撃は思っても見ない方向から来た。
「あ……れ……?」
紫色の蝶が、大きく羽根をふるわせ、鱗粉をまき散らす。
ただそれだけだったはずなのに、腕は痺れ、テッカの膝は、その意志に反し崩れ落ちていった。頭が痛い。喉が、内臓が燃えるように痛い。
「なん、で……」
殴られたわけでもないのに、視界がぼやけていく。得体の知れない痛みはそのまま恐怖と焦りに変わっていった。
「くそっ、毒蝶かっ……!」
ケイナが咳き込みながら舌打ちする。それでテッカは全てを悟った。
「毒……」
解毒剤を持たないテッカ達に対処する術はない。心臓が壊れそうに空回りしている。ぼやける視界の端に、同じように羽根をふるわせる蝶が映った。動かそうとした身体は言うことを聞かず、苦しそうなエレキの声と、ツガルの悲鳴が聞こえる。
「……ぅ……ぁ……」
胸が痛くなった。悔しかった。何も、できなかった。誓ったのに。守りたかったものでさえ。なんで、自分は、弱くて。
「ごめん……なさ……い……」
必死に立ち上がろうとして、叶わずに、最後の力を使い果たし、テッカの意識はそこで途切れた。


「テッカさん!」
展開していた回復の術式は間に合わず、ツガルが悲痛な叫び声を上げた。
「やべ、俺も無理かも……」
最後の力を振り絞って蝶の羽根に傷を与え、エレキがどさり、と地面に倒れる。
「ちくしょう……っ!」
ダルマは力をこめ、悔しさをすべて斧に乗せ蝶に叩きつけた。片羽根を失った蝶は地面へと落下する。それをダルマはおもいきり踏みつけ、残る一匹をにらみ付けた。
まるで、悪夢のようだった。ついさっきまで、ここはあんなに穏やかで、みんな笑っていたはずなのに。
それなのにテッカとエレキは倒れ、ケイナは満身創痍で、自分とツガルだけが仲間と運に守られこうして立っている。
「っく、ひっく……」
ツガルが泣きながら、ケイナに向け回復の術式を組み立て直している。それを視界の端に納めながらダルマは斧を持ち直し、蝶との距離を測った。何かあったとき庇ってくれるテッカは居ない。ツガルも、自分の身も、自分で守らなければいけない。
「えぇ、か、ダルちゃん、落ち着いて……鱗粉だけ、吸わないようにしてや……」
「……わかった、ケイナさん、大丈夫だから」
ケイナの声に頷き、タイミングを計る。蝶は焦るこちらを嘲笑うかのように高く飛び、ひらひらと舞い、そして。
「うぉぁああ!」
高度の低くなった一瞬を見計らってダルマは跳んだ。振り下ろした斧で羽根を、頭を砕く。
「……!」
地面に叩きつけ、とどめを刺せるまでの一瞬のタイムラグ。倒せたと思った蝶は、そこで羽根を振り、逃れた。
「しまっ……!」
目の前に迫る紫の羽根。叩きつけ、傷を負わせ、あわよくば鱗粉をばらまこうとする悪意ある回転。回避行動が間に合わない。異様にゆっくりと流れる時間の中、迫り来る羽根をダルマはただ見ていることしか出来ない。音のない世界。紫がひろがり、そして、
「……氷の、術式っ!」
その静寂は、ケイナの声で破られた。
ダルマにぶつかる寸前で、結晶に覆われ凍り付いた蝶は重い音を立てて地面に落ちる。
「……っ!」
一瞬混乱した後、ダルマは斧を振り下ろし、氷ごと蝶を打ち砕いた。硬い手応えと同時にガシャンと音がして、蝶はあっけなく粉々に砕け散る。
それと同時に、花畑には静寂が戻った。辺りを見回しても、もうひらめく羽根は見えない。
「倒せ、た……?」
荒い息をつきながら、ダルマは呆然と呟いた。始まりと同じ、終わりもまた突然で、助かったという実感がわかない。
「ダルマっ!」
立ちつくすダルマは、半泣きのツガルの声でやっと我に返った。
「どうしよう、キュアが効かないの! ケイナさんも、テッカさんも、エレキさんも……!」
ツガルは狂乱状態で、必死に腕を掴んでくる。
キュアが効かない。それが示すことを理解し、ダルマも青ざめた。彼らは死に近づいている。自分たちのような初級の冒険者では手に負えないくらいに。
「……大丈夫だ!」
半分自分に言い聞かせるように、ダルマは力強く断言した。
「アリアドネの糸で帰るんだ! 施薬院の人なら治してくれる!」
「……うん!」
ツガルが頷き、目に涙を浮かべたままカバンを探り、糸を取り出す。
(早く……)
糸に紡ぎ込まれた術式を起動しながら、ダルマは祈った。
(早く……!)
一刻も早く施薬院へ。ツガルの手を堅く握りかえし、糸の放つ白い光の中ダルマは目を閉じた。



「二人でよく帰ってきたね。もう大丈夫だよ」
施薬院の年取った医師は、そう言って二人の頭を撫でた。自分たちにとっては一大事でも、施薬院としてはいつものことなのだろう、治療はあっという間に終わり、開けられた扉に二人は駆け込む。
「ケイナさん!」
ベッドに腰掛け、きまり悪そうに微笑むケイナにツガルは飛びついた。
「良かった……」
「心配かけてごめんなぁ」
ケイナがぽんぽんとツガルの頭を撫でる。ダルマは一瞬面白くなさそうな顔をした後、テッカ達の方を向いた。
「そっちの二人も、無事そーじゃん」
「うん、ありがとう。ダルマ達のおかげ」
「俺だってテッカにーちゃんがかばってくれなきゃやばかったかもしれないし」
会話しながらも時折、ダルマの視線はツガル達の方を気にしている。そのわかりやすさにテッカは苦笑した。なんだかとても、微笑ましい。
「ま、結局お互い様ってことじゃん?」
気にしすぎるなとエレキが笑う。つられてテッカも笑った。
「ダルちゃーん! ダルちゃんもありがとなー!」
「のわっ、ケイナさん重いって!」
テンションの上がったらしいケイナが抱きついてきて、ダルマが悲鳴を上げる。
「エレキ」
大騒ぎする三人に混ざらずに、ぽつりとテッカは言った。
「……守れなくて、ごめん」
「へ? なんだよ、気にしてたのかよ?」
エレキは意表をつかれたように目を丸くする。それから困ったように頭をかき、笑い飛ばした。
「あんなん事故だって事故。テッカが気にする必要全然ねーっつの」
「でも……」
「でももなんも無し。俺らだって油断してたしさ。ケイナさんなんかリーダーのくせに寝てるし」
「はは、確かに……」
油断しきったケイナの寝顔を思い出し、テッカは苦笑した。
「だからなんも気にすることねーって」
エレキは笑い、ふと、まっすぐにこちらを見つめた。
「これからさぁ、頑張ろうぜ、テッカ」
軽い言い方をしているが、その瞳は真剣だ。エレキもまた、倒れてしまったことを苦にしているのだとテッカは気づいた。
「おう」
力強く頷く。
身体にも防具にも大きな傷は残っていない。拠り所にできるようなものは何もないけれど、エレキも自分もこの誓いを忘れることはないだろう。
守る。そして、全員で生き残る。
顔を見合わせたまま、エレキとテッカは笑い合った。
「エレキさん、テッカさん」
ツガルに呼ばれて顔を上げる。いつの間にか大騒ぎを止めた彼らは、それぞれに強い光を宿した目でこちらを見ている。
「行こうか」
そう呼びかけて、目と目で頷きあって。
テッカ達は、部屋の外へと踏み出した。



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ケイナ「けど迷宮の前に宿屋で休もうな。HP半分でへろへろやし」
エレキ「あ、ほんとだ。てかTPやべぇ!」
テッカ「台無しだ……正しいんだけどなんかいろいろ台無しだ……」



初全滅の代名詞、三匹の毒吹きアゲハイベント。
全員HPが30そこらなのに、毎ターン25ダメージとか与える毒(キュアの回復量は10そこらなので、喰らったらほぼ確実に死ぬ)を与えるやつが三体も出てくる鬼畜っぷり。
自分とこのパーティは(それまで散々迷ってレベルが上がっていたため)なんとか生還できました。その時のプレイ状況を脳内の記憶に忠実に再現。(しかしスキルポイント的に氷の術式はまだ覚えてなかったと思われます。話の都合というやつです。)

ちなみにダルツガペアはその時から一度も死んでません。守られているのだと思います。
テッカは前列トップなので……うん……。(たまに一人旅に出してやらないと一人だけレベルが遅れる)(不憫なやつ)
いつでも自由なエレキに対し、テッカはパラレルを作成するたびそこでの役割に囚われるのが面白いです。まぁ守る守る言っておきながら、操作してる人が『とりあえず攻撃』馬鹿なので、ボス戦でしかパラディンっぽいことさせて貰ってませんが……。
(ツガルもケイナも雑魚戦だと大抵素殴り。一桁ダメージしか与えられ無かろうが)
ターン制の戦闘で、自分の順番が回ってくるまでの間だってみんな何してるんだろう?



BGM:コープスパーティ鏡音アレンジ二曲、不安になるミクうたタグ巡回
書いてた時刻:おもに真夜中丑三つ時
戦闘の迫力っていうか怖さがでてたら……いいなぁ。
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